生活保護を受けている人の話をよく耳にするものの、どういう人が生活保護受給者になるのかはあまり知られていない。実は受給するには様々な条件を必要とし、生活保護受給者と認められることは、なかなか難しいのだ。例えば世帯主でなければならないとか、経済的援助をしてくれる親族がいないとか、本人が働ける状況ではないとか…その中の条件に、借金があってはならないというものがある。しかし、借金まみれになってしまい生活できずに生活保護申請をする人は大勢いる。こういう人たちは、本人の持ち物の中で換価できそうなものをまずすべて換金などし、限界まで借金を減らす。その状態で、それでも生活をしていく状況が困難になっている人に関しては、生活保護を受けることができるようになっている。

しかしここで疑問が生じる。生活保護受給者が抱えている残った借金に関して、その支払いはどうなっていくのだろうか。これに関しては、受給の申請をして審査が通る前までに、何かしらの手続きを終えておかなければならない。一つは借金の支払の一時停止手続きである。債権者に対して、生活保護を受ける旨を伝えてその間の支払いを一旦停止してもらうようにする。二つ目は自己破産手続きをすることだ。支払いの一旦停止をしたところで永久に生活保護を受け続けるような状態だと判断されるのであれば、破産手続きを余儀なくされるであろう。これらの手続きを終えたうえで、生活保護受給者となりうる。この手続きの意味は、生活保護費で借金の返済を行うことができないようにするためだ。国の税金を個人の借金返済に使用されては、頑張って納税している国民が黙っちゃいない。

正直なところ、本当に生活に困窮して誰も頼る当てがないということで、生活保護を受けるにふさわしい人はいるものの、その裏で、受給に値しないような人が法や常識の隙間をかいくぐって不必要に生活保護の下ぬくぬくと暮らしていたという例があったのも事実だ。ギャンブルや遊びに費やすために借金まみれになって結局返済できなくなり、家もないのでなかなか仕事が見つからない、というような人でも生活保護の審査を通る場合だってある。そういう人たちの生活を支えるために私たちの納めた税金が使われているという現実がある以上、簡単に生活保護を受けようとしたり、簡単に自己破産を考えたりする人たちををもっと厳しく取り締まってほしいと願うことは、決して薄情なことではないと思う。